何年か前に玉屋の素材をもう一段階上げたくて巡り始めた鉱物展で出会った宝石屋さんがいます。
私が見た中で価格と石のクオリティのバランスが最も妥当で、なによりその方の人柄がステキで、石について話す中で、作家であること、自分のイメージする石についてお伝えしました。
するとその宝石屋さんは、ついている値札から更に「作家さん価格」とおっしゃって破格にしてくださった上に、世界中の鉱山や鉱物展に行っているから希望の石があるなら原石から仕入れて好きな形に加工もしてくださると申し出てくださいました。
「石を使ってくれる皆さんがいるから僕たちの商売が成り立ちますから。そういう作家さんたちを守らないと。」
それがその宝石屋さんのスタンスでした。
昨年は参加した「工芸の五月」の故郷松本でのクラフトパーティー。今年は参加しませんでした。昨年参加させていただいたことで出会った作家仲間のおおくは今年も、フットワーク軽くさらにステキになった作品たちを出品していました。
そうしたことを羨ましく思ったこともありましたが、自分が自分の好きなことだけで生きていくためのライフプランの中でいま優先したいことがあって、玉屋えゐちとしての活動はとてもスローペースにしています。今年参加しなかったクラフトパーティーの数々に顔を出しみんなの作品を見ながら思ったのはシンプルに、こうしたステキな作品を生み出す仲間がいるということへの嬉しさだけでした。
仲間の作品を求めるという行為で認めあうということも大きな広がりのまえの第一歩だと、玉屋モノをお求めくださるお客様のキモチを感じつつ、たくさんのステキな仲間の作品を選んできました。
自分が自分であることの原点と等身大の今をようやく繋げられたような今年の五月でした。